第22章 一生に一度の大切な日
「今日は楽しかったですね」
ウエディングドレスを脱ぎ、お風呂に入って乾かした髪を梳かしながら話しかける。
「そうだな。最高の日だった」
ベッドに腰掛ける楽さんの隣に座る。
腕を絡め、頼もしい肩に身体を寄せる。
「楽さん、ありがとうございました。綺麗なドレスに綺麗な結婚式場、皆さんから祝福されて、私今最高に幸せです」
「礼を言うのはこっちだ。ありがとうな、俺と結婚してくれて」
頭上から優しい声が降ってくる。
「今だけじゃない。これからも幸せにしてやるからな」
ちゅ。と軽いキスをする。
「…不束者ですが、よろしくお願いします」
「ああ。よろしく」
優しく抱きしめられる。
少し苦しいくらいの力加減が心地いい。
私を何度も抱いた腕の中。
私だけの特等席だ。
そのまま優しくベッドに押し倒される。
ほんのり赤い楽さんの頬に手を寄せる。
その手を捕らえられて、お姫様にするみたいに手の甲にキスを落とす。
「……いいか?」
何をかは聞かずとも分かる。
私は笑顔のまま頷いた。
ちゅ、ちゅ、じゅ。
軽いリップ音に混ざって、強く吸い付く音がする。
「ん…ふ、まだ、するんですか…?」
「いいだろ」
「ぁ…いい、ですけど…」
お互いに服を脱いで下着姿になったからというもの、ひたすらにキスをされている。
額、目、鼻、口、頬、耳、首、腕、手、胸、腰、脚……。
触れるだけのキスから痕がつくほどの強いキスまで。
もうキスされていない所は無いんじゃないかと思うくらいずっとされている。
…いや、されていない所が一つある。
愛しい男が欲しいと涙を零す場所には一切触れていない。
「楽、さ…ぁ、んっ…ねぇ…」
「は…悪い、もう少し……」
欲情した視線を向けられると何も言えなくなってしまう。
「なんだか、今日のお前は…ん…いつもより綺麗で、痕をつけずにはいられないんだ…」
その言葉だけでまた胎の奥がドロリと溶けた。
「ん…あぅ…嬉しい」
今日まで頑張った甲斐があった。
髪のケアに体型管理、ボディークリームも毎日使って、肌荒れも無くした。
下着だって、楽さんをイメージしてレースやリボンのついたライトグレーの大人しめだけど可愛い物。
全ては旦那様になる人に喜んで欲しくて。
楽さんの手を取って、溶けた秘部に持っていく。
指先が当たるとクチュリと音がした。
「ぁ…もう、いっぱい濡れたから、欲しいの…」