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12色のアイ

第19章 さようならを無かったことに


楽side

ダン!!!!!
思いっきりテーブルを殴った。
様々な思いが頭の中で渦巻く。
「ぜってぇ逃がさねぇ……」
必ず見つける。
見つけ出して、今度こそ今度こそ……。


「楽、手赤くなってる。何したの」
「お前には関係ねぇだろ」
「関係あるよ。TRIGGERのメンバー」
「チッ」
「なんだか今日はいつもより機嫌が悪いね。どうかした?」
「龍まで……いや、悪い。これは俺の問題だ」
「楽………」
そうだ。俺の問題。
こいつらを巻き込むわけにはいかない。
俺自身でしっかりとけじめをつける。
「逃した獲物は大きいって感じ?」
「おま、なんで…」
「何があったのかは知らないけど、ファンを心配させるようなことだけはしないでよ」
「……ああ」
「それ以外は少々無茶してもいいんじゃない」
「お前、やっぱり……」
「ほら、撮影だよ」
年下に心配されて……不甲斐ねぇなぁ。
待ってろよ、百合。


—2年後—
「おい!!!待て!!!」
おかしい。こうなる予定じゃなかった。
予定では再会したその瞬間、あいつを抱きしめて俺の想いを嘘偽りなく伝えるはずだったってのに…!
「クソッ!!!!足速ぇなぁ!!!!」

あいつが俺の目の前から消えてからというもの、俺は今まで以上に仕事一本でやってきた。
スキャンダルなんか絶対に出さない、そう誓った。
きっとあいつは今でも俺を想ってる。
だから、もっと成長した自分になるまでは不安な思いはさせないようにした。
後悔は、してる。
もっと早くあいつの苦しみに気づいてやりたかった。
俺は、愛を伝えることがあいつの不安を取り除いてやれる方法だと思っていた。
そう思い過ぎたせいで本心を見れなかった。
初めてのあいつを抱いた翌朝、隣にいた筈のあいつが居なくなっていて、メールも電話もラビチャも全部繋がらなくて、これまでに無いほどの絶望を味わった。
人の気持ちは完璧には分からない。
でも、知らず知らずのうちにあいつが傷ついてしまった事はわかる。
だから、今度こそ、その手を掴んでその傷も不安も俺が全部消し去って、心も身体も俺で埋めてやるって決めたんだ。
だから、俺から逃げるな!百合!
「はっ、つか、まえたぜ……!」
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