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12色のアイ

第18章 ばかになっても愛してあげる


ついに耳がおかしくなってしまったのかと思ったけど、どうやら私の耳は正常らしい。
お二人の口から紡がれたのは「好き」という二文字。
このたった二文字に私の心は酷く動揺させられた。
「ど、いうことですか…?冗談、ですよね……?」
ここで「ははっ、びっくりした?冗談に決まってるでしょー!!」とかって笑い飛ばしてくれたらよかったのに、
「冗談なわけないじゃん。本気、だよ?」
……なんて言われるもんだから、本当に困る。
「……お気持ちはすごく嬉しいのですが、ごめんなさい。私、好きな方がいて…」
「壮五くんでしょ?知ってるよ。ね、モモ」
「うん!視線でバレバレ。隠すならもっとうまく隠さなきゃ」
「う、そ……」
「大丈夫。今のところ気づいてるのは僕たちだけだから」
「そ!だから安心して!」
いやいや、何をどう安心すればいいのか分からない。
とにかくこの場から逃げたい。
そう思って、なんて理由を付けて逃げようか考えていたら、千さんに頬を両手で包まれた。
「それにしても効かないな。モモ、買ったの本当に即効性?」
「そうだよ!もー!!疑うなんてひどいダーリンだなぁ!」
「ごめんごめん。……もう少しかな」
この人たちは、何を言っているの…?
効かない?即効性?もう少し?
もしかして……。
そう思った時にはもう遅かった。
身体がじわじわと熱くなってきて、運動もしてないのに息が切れる。
触られている頬から千さんの体温が伝わってきて変な気分になる。
これは……飲んだことはないけど、間違いない。
媚薬だ。
「お、効いてきた」
「ほんと!?やっとだー」
お二人は満面の笑みを浮かべて私を見つめる。
「な、んで、こんな……」
「好きだから」
ツゥーッ、と頬を指がなぞる。
「く、ふぅ…っ、わたしは、すきじゃな、」
「知ってるよ。だから身体から堕とす事にしたんだ」
「そうだよ。僕が提案した」
千さんの指が頬から首筋へと移動する。
なぞられているだけなのに、やけに甘ったるい声が漏れる。
そんな私を見て、お二人は満足そうに笑うと、私にこう囁いた。
「大丈夫。どろどろに溶かしてたくさん甘やかしてあげるから」
「オレとユキは君が好きなんだ。だから大人しく愛されて」
思考回路がバカになる。
お二人はソファの両端に座り、私の頭は千さんの膝の上に。脚は百さんの太腿の上に乗るように寝かされた。
もう、逃げられない。
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