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12色のアイ

第18章 ばかになっても愛してあげる


百side

「あ〜〜〜〜、百合ちゃんまだかなぁ〜〜」
「もう直ぐだよ。あの子は真面目だから、僕たちが呼んでるって聞いたら飛んでくるよ」
「う〜〜〜〜……」
そんなことは百も承知。
でも、早く会いたいものは会いたい。
だって好きなんだ。心から。
実はユキもあの子のことが好きだったりする。
少し前、ユキから百合ちゃんが好きだと衝撃告白をされた時、オレも好きなんだと伝えると、なら2人で共有しよう、という結論が出た。
取り合いになって仲が悪くなりでもしたら仕事に支障が出る。
それなら、2人のものにしちゃえ。
至ってシンプルな考えだと思う。
問題は、あの子が壮五くんを好きだということ。
まぁ、問題といってももう解決したも同然だ。
ガチャリ。
「失礼します」
なんてったってオレの相棒がいいアイデアを出してくれたんだもん。
「あの、ご用件はなんでしょうか…?」
「実はさ…あ〜〜、ちょっとここじゃ言いにくいことなんだよね……。どうしよう、ユキ」
「今日の仕事終わりに僕たちの事務所に来て。出来るだけ早く伝えたいんだ」
「………わ、かりました」
好きな子を騙すのは心苦しいけど、仕方がない。
ほら、誰か言ってたじゃん。
『鳴かぬなら 鳴かせてみせよう ホトトギス』ってね。
俺たちを好きじゃ無いんなら好きにさせればいい。
『心を落とすのは時間がかかるから、まずは身体を堕とそう。一度堕ちたらあとはこっちのものだ』
さっすがユキ。いいこと思いつく♬

強張った顔の彼女を見送る。
ドアが閉まり、足音が遠ざかると思わず笑いがもれた。
「こら、モモ。はしゃぎたい気持ちも分かるけど、少し大人しくしてて」
「ふ、ははっ、だって、順調すぎるんだもん」
「確かに。事務所に戻ったらシャワールーム使おうか」
「そうだね」

夢主side
「いらっしゃい。ごめんね、急に」
「い、いえ…」
「まぁ、まずはお茶でもどうぞ」
「いえ、それよりも先に話を…」
「これからお茶を飲む余裕なんて無くなるかも知れないから、飲んでおいて」
そっ、そんなにやばい話なのか……!?
私は千さんからお茶を受け取り、二、三口ほど飲んだ。
「それで、話とは…」
「好きなんだ」
「は?」
「僕たち、君のことが好きなんだ」
「え?」
「オレたち、百合ちゃんが好きだ」
……聞き間違いであってほしかった。
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