第5章 1週間後にもう一度
「伊豆くん…うっ…好きって言ったら…君のこと好きって言ったら…ひっく…迷惑…?」
行為の最中、何度も好きという言葉を口にした気がする。でもあれは、薬のせいだと私は思っていた。気持ちいいのが好きなのだと、そう薬に言わされていただけなのだと思っていた。正気の私には関係ないことだと思っていた。
でも多分違う。あの時、熱にうかされていた時からずっと、私は
「伊豆くんが…ぐすっ、伊豆くんのことが、好き…」
そう伝えたかったのだ。
「桃浜、落ち着いて、聞いてくれ」
伊豆くんは私の肩に手をあて、少し背を曲げて、私と目線をまっすぐに合わせた。
「桃浜は今、混乱しているんじゃないか?先生に乱暴されて、精神的に弱っているんだよ。オレに助けられたのを、好きだと勘違いしているだけなんだ。桃浜、オレはな、悲しんでる女の子に付け入るようなことはしたくない。結局オレも、お前に勝手なことをしてしまった。お前に感謝されるような男じゃないんだ」
そう、彼ならそう言うと思った。どこまでも冷静な伊豆くん。彼は、私がせがんだから抱いてくれただけなのだ。私がワガママなだけなのだ。