第4章 ORIGINAL COLOR④
今日は朝から雨だった。
窓の外を見ると、外で活動をするアート大生はほとんどいなく、グラウンドを雨が濡らすだけで、とても寂しい雰囲気がした。
窓を打ち付ける雨音が、ザワザワと騒ぐわたしの胸を内を更にざわつかせるのだった。
彼の要求はこうだ。
まず堂本剛の作品活動を手伝わないこと。
学祭が終わるまで堂本剛と会わないこと。
堂本剛にこの契約の話しをしないこと。
何か聞かれてどうしようもない時は、わたしとクドウタクヤは付き合っていると言い訳をすること。
そうすればわたしとの関係をバラさないことが約束される。
わたしは堂本剛に恋をしているので、胸が苦しくて苦しくてしょうがなかった。
彼に嘘をつくこと。
彼に会わないこと。
言い訳できないこと。
でも、わたしとの関係をバラされて彼の将来が閉ざされることの方がもっともっと辛かった。
わたしがモデルをやらなくて、彼なら最高の作品を作れるという確信があったし、剛にとってはきっと大したことではないはず。
わたし一人我慢すればことは収まるはずである。
そう思ってわたしはタクヤと契約を交わした。
頭では分かっているが、それでもやはり辛いものは辛い。
誰にも相談できないし、わたしはただただ自分の中で消化するしかなかった。
「クドウタクヤと何かあったんでしょ。」
講義が終わり、窓の外を憂いを帯びて眺めるわたしにアヤメはそう問いただす。
アヤメはわたしのここ最近の変化に気づき心配してくれているが、何も言えず、彼女に対しても申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
「なにもないよ。」
「嘘。あれから元気ないもん。わたしそういう勘は鋭いんだから。」
口を膨らませて怒ったようにそう言うが、優しさがにじみ出る。