第2章 ORIGINAL COLOR②
「自分は自分やから、自分の人生歩んだらええねん。好きなように生きたらええねん。頭では分かっとるんやけど、難しくて。曲にしたけど、今でもやっぱり苦しいんどる。あかんな。」
「そんな風に考えてくれてたなんて嬉しいよ。ありがとう。」
そんな気持ちを聞けただけでわたしは飛び上がるほど嬉しかった。
わたしがモデルをやっている理由がずっとモヤモヤしていたから。
「ひろかさんに自由に生きて欲しいって思っとったのに。他の人とバンドやるっていうのが許せないなんて。もうほんとめちゃくちゃでカッコ悪いわ。」
そう頭をかきむしり苦しんでいる姿が少し可愛くてわたしは笑ってしまった。
「ははは。笑 でもほんとにわたしピアノはもう良いの。オリジナルカラーって作品が出来上がっただけで、9年間ピアノ頑張ったこと救われた気がする。無駄じゃなかったって。あの時にわたしのピアノへの執着は成仏できたんだと思うの。他に夢中になれること探したい。今はそう思ってるよ。」
「ほんまに?」
「うん。ほんとだよ。」
剛はわたしの言葉を聞いてやっと信じてくれたのか、安心したようにニコッと笑った。
「よかった。」
そう言うと、突然剛はわたしの腕を引き寄せる。
一瞬なにが起きたのか分からずびっくりすると、その瞬間彼の体の中にすっぽり収まり、抱きしめられる。
「?!!!!」
あまに突然のことで体が一気にこわばった。
言葉を失い、剛の体温と胸の鼓動が体に伝わった。
「和解の抱擁やで?あかん?」
耳元でそう囁かれて、頭の中が真っ白になる。
「いや、あかんくないけど、、、///」
「けど??」
「緊張しちゃうよ。」
「奇遇やな。俺も自分からやっといて緊張しとるわ。」
そう笑う彼には余裕がみえる。
やっぱり訳がわからない。
彼の考えていることが。
体を離すと、こちらをイタズラっ子の子供のようにニヤニヤと笑っている。
顔が真っ赤になっているわたしを見て、
「なんか嬉しくてつい。ごめんな?」
と言った。
わたしはこの男に振り回されっぱなしである。