第22章 いざ!出陣!【22】
仕事服の件は一度保留にし先程から気になっていた遠征や出陣の資料の一冊を手に取りペラペラと捲って見る
『フムフム…ホントだ鎮圧や人助けって書いてある…へぇ~資材や小判、札とか手に入るんだ』
次に出陣と書いてある冊子を手に取りペラペラと捲る
そこには、先程教えて貰った白蟻やスズメバチの駆除などは一切書いておらず時間遡行軍との戦いについて書いてあった
私はその冊子を静かに閉じた
長谷部「あ…主?」
私はゆっくりと顔を上げると皆を見る
皆と初めて顔を合わせた時、皆キズだらけだった事を思い出した、あんな思いはもうしてほしくない
皆は優しく微笑み私を見ていた。大丈夫だと俺達に任せろと言うように
『長谷部さん…』
長谷部「あ、主…その…」
『確かにこれ害虫駆除みたいなものだね?』
長谷部さんに向かって出陣の冊子を両手で持ち突き出した
長谷部「主…嘘をつくような事をしてしまいすいませんでした」
『あながち嘘でもないんじゃない?白蟻とかスズメバチって勘違いしたのは私だしね?』
無理矢理笑顔を作ってへへっと笑って見せる
この笑顔を崩したら泣いてしまいそうだから
『さてとっ!襖直さなきゃ!長谷部さん!襖直す道具とか蔵にある?』
長谷部「はい、ありますが、そんなの俺がやりますよ」
『大丈夫だよ?私が風穴開けたんだし、あんなの誰かにやらせたら文句言われそうだもーん』
そうしてまたニカッと笑って見せると広間を出た
広間から少し離れた所まで来ると蔵に向かって走った
蔵につくと重い扉を開け中に入る、明かり取り用の窓だろうか、奥の壁の高い所に鉄格子がはめられているが、そこから陽が射し込んでいた
『ヤバい…やっぱり長谷部さんに来てもらおうかな…道具多すぎてどこにあるかわかんないや…う~ん、でもとりあえず探してみよう』
近くにある木箱の蓋を手当たり次第開けて行くと
『あっ!あったー!やった、やっぱり私やれば出来るじゃん!………っ!……ぅ………』
我慢の限界だった
『ヤダょぉ~…皆を出陣させるなんて…ヤダょぉ…また…ケガするかも知れないのに…ぅっ……ぅっ…』
私は震える自分の体を抱きしめ必死に声を抑えるが溢れる涙はとめられなかった
蔵の入口では皆が私の様子を伺っていた
加州「あるじ…」