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【YOI】ほろ苦く、そして甘い予感【男主&ユーリ】

第2章 僕と貴方の唇は


その夜。
バンケット会場で礼之は予想以上のスケーターや関係者達に声をかけられていた。
「EXすっごい可愛かったよ!キミってあんな演技も出来たんだね!」
上機嫌のピチットに抱きつかれたり、他の選手達と記念撮影をしつつ暫し会話を楽しんでいたが、やがて、テーブルの一角にユーリの姿を見つけた礼之は、表情を輝かせると彼の元へと足を急がせた。
「いらしてたんですね!純さんから聞いてたけど、まさか本当にプリセツキーさんとバンケで会えるなんて!」
「お、大げさだろ。それにロシアのバンケでも一緒だったじゃねえかよ」
「そうなんですけど、今夜の方があの時よりずっと嬉しい」
素直な礼之の言葉に、ユーリの頬にうっすら朱が指す。
ノンアルコールのスパークリングの入ったグラスを差し出してきた礼之に、ユーリは少しだけぎこちなく受け取ると、グラスを合わせた。
「僕、絶対今度の全日本でワールドの切符取ります。それこそ勝生さんにも勝つ!な気持ちで」
「後半は賛同出来ねえな。俺が先にGPFでアイツを倒す予定だし」
そう答えながら、ふとユーリは何かを思い出したように辺りへ視線を泳がせる。
「どうしました?」
「いや、いつもならここでアイツらの茶々が入って来そうなんだが…」
今回のバンケットに参加するにあたって、ヴィクトルから相当礼之との事をからかわれていたので、何処か警戒を解けずにいたユーリだったが、一向にそれらしき気配がないのを逆に不審に思っていた。
「サユリが身体張って止めてくれてんのかな…」
「ねえ」
「あ?」
「ちょっと、2人きりでゆっくりお話しませんか?」
礼之の穏やかな声と率直な意志に、ユーリの鼓膜と心は思い切り刺激された。

「俺を止める為とはいっても、普通ここまでやる?」
ソファに坐る己の膝枕で爆睡する純を見下ろしながら、ヴィクトルは呆れた顔で呟く。
「2人共どうしたの?」
「あ、勇利。コイツ昨夜から『サムライ』くんのEX作りや練習で一睡もしてなかったみたいで」
「純、一通り挨拶終えて気が抜けたのかな?でも、ヴィクトルの膝枕ってちょっとズルイ。僕もいい?」
「ダメ」
「何で!」
「…俺の理性が保たないからここじゃダメ」
恋人の照れた顔を見て、勇利は久々に己の何かが昂ぶるのを覚えた。
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