• テキストサイズ

思えば…

第1章 思えば…


「あいつならそこらの不良にらやられるたまじゃねぇから大丈夫だ」
「で、でも、すごい体格差があったんすよ?」
「中学で俺とガチでやって骨折れたことねぇから大丈夫だよ」
「え、それって…」
「あいつは喧嘩こそしてねぇが、見た目のせいで襲われることが多かったからな。正当防衛だ。ほら、わかったならこの話はこれで終わりだ」

たしかに水瀬の実力は俺が、幼馴染の、1番そばに居た俺がよく知ってる。大丈夫なのはわかってる。小さい、握り潰せそうなほど細い身体で思いもよらない行動を起こすことも、普段からそういうことに関わろうとしていないのも。
だから今回は2人がいたから行動に移したんだろう。でも、万が一水瀬が暴かれるようなことがあるとしたら、鳥肌が立った。恐らく是が非でも水瀬は泣き叫ぶことはないだろうが、苦しく、悔しく、心が傷つけられるだろう。もし、いなくなったら…俺はきっとまた後悔する。

「あの、鬼龍先輩…」
「どうした、嬢ちゃん」
「あ、いえ…その、先輩、顔がすごいことになってます…」

嬢ちゃんに手鏡を渡されて見たら、子供が見たら泣き叫ぶくらいおっかねぇ顔をした自分がいた。危ねぇな…

「ありがとな、嬢ちゃん」
「い、いえ、なんかすみません…」
「嬢ちゃんが気にすることねぇよ。あいつには俺からも言っておくから」

頭を撫でてやって、一息つくと時間を見て俺は自分の作業を区切りをつけて家に帰る用意をした。今から普通に妹を迎えに行って、夕飯の支度をしてから、水瀬のバイトが終わるくらいに迎えいこう。
帰りが遅い時は都合つけて迎えに行けるんだが、それ以外ではどうもしづらかった。あいつがバイトを始めてからシフトのたびに帰りになにか起こってないか心配だったが水瀬の実力は信用していたし、俺が行って迷惑になるならとやめておいたんだが、今回ばかりは顔を見ないと安心出来なかった。
/ 10ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp