第1章 思えば…
「S2の方は順調に行きそう?」
「んー、蓮巳の旦那が生徒会でなかなか合わせられねぇがなんとかなるだろ」
「なんだかんだ言いながら、鬼龍くん紅月大好きだよね」
「そりゃ自分のユニットだからな。好きじゃなきゃやってねぇだろ」
昔と比べると鬼龍くんはだいぶ柔らかくなった。元から優しかったけど、それが傍から見てもわかりやすくなったというか……
ずっと、私がいられた鬼龍くんの隣には、もう私はいられないんだと思うと胸がいつも苦しくなる。そりゃ、私は鬼龍くんからしたらただの幼馴染で、妹みたいな感じで、女の子として見られたことなんてないだろうけどさ。
「それもそうだね。血よりも濃い絆だもんね」
「おう」
「そろそろ校門が近くなるね。あ、そうだ…」
校門が近くなればあとはそれぞれの校舎に行くだけだ。私は作ってたおにぎりの1つを鬼龍くんに渡した
「はい。ついでだからあげる」
「おう。あんがとな」
「それじゃあ、今日も頑張ってね。アイドルさん」
そう言ってから私は普通科の校門を潜った。