第5章 Shake it !
【潤side】
次の日。
出社した翔さんはいつもの櫻井課長に戻った。
昨日のあんなに可愛らしい翔さんは、影も形もない。
こうしてると、なんか昨日のことが夢みたいだなぁ…
あの厳しい顔で部下に指示を出してる人が、昨日、俺の下であんなに可愛く乱れてさ…
可愛かったなぁ、ホント…
あ、やべ…
思い出したら勃ってきた…
「ちょ…トイレ」
「いってらっしゃい」
隣のニノの怪訝そうな視線を避けるように、若干前屈みになりながらトイレへ駆け込む。
個室に入って鍵をかけ、スラックスと下着をずり下げると。
俺のおれはしっかり勃ってた。
あ~、やべぇな…
これどうしよ…
じっと見てると、また昨日のことが脳裏を過ぎる。
コイツ、翔さんの中に入ったんだよな…
温かくて柔らかくて。
気持ちよかったな、翔さんのなか…
なんて思い出したら、収拾つかないくらい、元気になっちゃって。
やべ…マジで戻れねぇ…
俺は仕方なく、ソイツを握る。
しゃあねぇな、1回抜いとくか。
壁に背を預け、下着を膝下まで下げて。
昨日の翔さんの姿を思い浮かべながら、ゆるゆると手を動かした。
途端に、昨日の翔さんの淫らだけど可愛い姿が鮮やかに蘇ってきて。
「…んっ…翔さん…」
ホンノリ桜色に染まった肌。
浮かび上がる珠のような汗。
俺の名前を呼ぶ紅い唇。
うねるように絡みついて離さない翔さんの…
「っ…あ…やば…」
思い出してたら、頂点はあっという間にやって来て。
ラストスパートをかけようと、握り直した瞬間。
「潤?大丈夫か?」
扉の向こうから、翔さんの声が聞こえた。
「ふぇっ…あ、あのっ…だ、大丈夫、ですっ…」
びっくりして焦っちゃって。
声がひっくり返った。
「…なにしてんの?おまえ」
なんかに気付いたらしい翔さんが、地を這うような声を出す。
俺は震え上がった。
「やっ…な、なんでもっ…腹、痛くて…」
「…ここ、開けろ」
「や、やですっ…」
「いいから開けろって」
有無を言わせぬ口調で言われて。
俺は渋々、鍵を開けた。
ドアがちょっとだけ開いて、そこから覗いた片目がギロリと睨む。
「おまえ…」
下半身丸出しの、情けない俺の姿を見て大きな溜め息を吐くと。
ドアを開け、素早く個室へと入ってきて。
ガチャリと鍵を掛けた。
「…翔、さん…?」