第5章 Shake it !
【翔side】
松本が連れて行ってくれた店は、意外にも庶民的なもんじゃ焼きの店。
「俺、ここのもんじゃ、大好きなんすよ!翔さんに食べさせてあげたいって、ずっと思ってたんです!」
松本はそう言って笑った。
その屈託のない笑顔に、ドキッとした。
「適当に、頼んでいいですか~?」
「あ~、うん、任せるよ」
こんな感じで、ぐいぐい決めていくけど、不思議とそれが嫌じゃなくって...
会社では、俺の指示の微妙なニュアンスも的確に理解し、
期待を裏切らない男...
そんな印象だけど。
二人でいる時って、こんなに可愛らしい、って言ったらおこるかな?
無邪気で、素直な少年みたいで、
それが何だか、可愛い...
「ビールもう一杯頼んじゃいますか~?」
「いや、もう遅くなるし...俺はいいや..松本は飲んでもいよ」
すると、彼は少し座り気味の目で俺を見つめて微笑んだ。
「じゃ、俺も止めま~す...つ~か、翔さん、俺のこと、潤て呼んでくださいよ~
相葉くんのことも、雅紀って、言ってたし...」
強請るような目で俺を見るから...思わずゴクリとつばを飲み込んだ。
「ねえ~...翔さん🎵」
「...じゃあ、後で...」
「は~い♪」
.....なんだか、すっかりこいつのペースだな。
俺達は、会社の近くだっていう松本のマンションに帰ってきた。
部屋の中は、モノトーンで統一された凄くお洒落な部屋だった。
でも雑誌が山のように積まれていたり、脱ぎっぱなしのジャケットが無造作に置いてあったり。
男の部屋って感じで生活感もあってなんだか落ち着いた。
「翔さん、お風呂入れました!先に入っちゃってください!」
「あ、ああ、ありがと」
「スーツ、掛けておくんで、脱いでください」
と、リビングで、ひん剥かれてシャツのボタンまで手を掛けるから、
「あ、これは、まだ...」
焦って押さえてしまった...俺、女子かよ(-.-)
「じゃあ、後でゆっくり🎵」
長い睫毛がパチリと閉じられた綺麗なウインクに、俺の心臓はまた跳ねた。
...しっかりしろ、櫻井翔!
風呂に入って湯船に浸かると、ようやく落ち着いてきた。
「ふう~っ」
松本との時間の中で、自分がどうしたいのか見極めるなんて言ってたけど、どうもペースを乱される。
大体さ~、俺、あいつとは、どっちなんだろ?