第5章 Shake it !
【潤side】
ようやく回ってきた、俺の1週間。
昨日の夜はいろいろ考え過ぎちゃって、全然眠れなかった。
翔さんの初めての男は大野さんだし。
翔さんのバージン奪ったのはニノだし。
相葉くんも…まぁそれなりにいろいろやっただろうし。
3人にやることやり尽くされてるだろうから、俺が強烈に印象に残るためには何をやったらいいんだろうかって、一晩中考えてみたけど結局何も浮かばず…。
まぁ、いろいろ考えても仕方ないか…
俺は俺で、勝負するしかない。
ようやくそう腹を括れたのは、午後の業務になってからのことだった。
くそう~、なんで名前順なんだよっ!
「…ん?なんだ?松本」
つい、デスクに座ってキーボードを叩いてる翔さんを睨み付けると、不意に視線をこっちへ向けた。
「…なんでも、ありません」
「そうか」
素っ気ない態度でそう言うと、またキーボードをカタカタと打ち始める。
あ~あ…
なんか余裕綽々じゃん…
相葉くんやニノの時は、最初めちゃめちゃ警戒した顔してたのに…
くそう~、なんで名前順…(以下、続く)
「松本、帰るか?」
終業時刻間際に急な仕事が入って。
本当は定時で上がって、どこかでディナーでも…なんて考えはあっさり覆され。
苛立ちを抑えることもせずにひたすらに仕事に没頭していた俺に、翔さんが声を掛けてくれた。
「えっ?」
「今日は、もういいだろ。そこまでやったんなら、明日の午前中で仕上げれば十分間に合うさ」
俺のディスプレイを覗き込みながら、そう言ってくれて。
「あ…はい」
頷いて、大きく息を吐くと。
フロアにはもう誰もいなくなっていることに気が付いた。
「あ、れ…?」
時計を見ると、もうとっくに9時を回ってる。
「え?もうこんな時間?」
「あぁ。すげー集中してたな。みんな声掛けらんなかったぞ?」
優しく笑いながら、翔さんが労うように肩を叩いてくれる。
「…もしかして…俺のために残ってくれてたんスか?」
思わず呟くと、途端ぱっと顔を赤らめて。
「だって…今日から、だろ…?」
今までカッコいい上司だったのが、急に乙女みたいに可愛らしくなった。
うわ…
今の、良い…❤
「ほ、ほら!とりあえず飯行こう!おまえ、店とか知ってんだろ?美味いところ、教えろよ」
「はいっ!」
よし!
頑張るぞっ!