第4章 夢
【和也side】
「あ…んぅっ…も、欲しいっ…」
見上げた翔さんは、昨日とはうって変わってゾクゾクするほどかっこよくて。
あ~、どうしよ…
こんなの、見ちゃったら、2度と離れたくなくなっちゃう…
「なに、もう我慢できないの…?」
ニヤリとちょっと意地悪そうに笑う翔さんは、初めて見せる完璧な男臭さで俺を追い詰めてくる。
「ん…欲しい…」
その圧倒的な力に、俺はあっさり白旗を揚げるしかない。
こんな翔さん、知らなかった…
ずっと見ていたはずなのに。
近付けば近付くほどに、また新たな姿が現れて。
どんどん、深みに嵌まってく。
もう、手放したくないよ…
「じゃあ、自分で足開いて?」
俺の中に埋めていた指をズルリと引き抜いて。
笑みを、深めた。
「ん…」
恥ずかしさに顔から火が出そうになりながらも、逆らうことなんて出来なくて。
彼に従う奴隷のように、自ら大きく足を開く。
「お願い…翔さんの…俺に、ください…」
生理的な涙が、じわりと浮かんでくる。
ジッと見下ろしていた翔さんの喉が、ゴクリと音を立てて上下した。
「その目…ズルいだろ…」
なぜか唇をほんのちょっと尖らせながら、俺の足を抱え込む。
俺の胸は、その瞬間を期待して大きく波打った。
「…ニノ…」
その黒い宝石のような瞳に吸い込まれるようで…
手を伸ばすと、その手を取って、自分の背中へと回してくれて。
その瞬間。
待ち侘びた熱が、俺の中に入ってきた。
「あ、あぁっ…!」
「…っ…」
ずぶりずぶりと中を押し広げながら、奥へと進んでくる。
「あっ…翔、さんっ…」
「…っ、ぁ…せまっ…」
翔さんの熱が、俺の体温と溶け合って。
1つに、なる…
「あぁぁっ…」
「…ぁぁ…ニノっ…」
翔さんの唇が、熱い吐息と共に俺の名を呼んだとき。
最奥まで、届いて。
俺たちは隙間なく、ぴったりと抱き合った。
「あぁ…翔さんっ…」
「…ニノ…」
「…嬉しい…」
大好きな人と、1つになってる。
そのことが、震えるほど嬉しくて。
変なの…
昨日だって、体を重ねた、のに…
なんで…
目の奥の方が熱くなって。
目尻から、雫が零れ落ちた。
「…なんで、泣くんだよ…」
翔さんの手が、優しく流れた雫を掬ってくれる。
その手を取って頬に押し当てて。
目を、閉じた。