第4章 夢
【翔side】
そんな感じで始まった、俺とニノの一週間は、今夜で終わる。
ということは、次は松本かぁ...
つーか、俺、何やってんだろ~?
「翔さん、おまたせしました~。行きましょ♪」
今夜は最後の夜だからと、旨いもの買って打ち上げするんだって張り切ってるニノ。
打ち上げって、なんか、おかしくないか~?
若干の疑問を抱きつつも、俺はニノと肩を並べて帰り道を急ぐ。
人波に流されないように、ちょっとニノの身体を庇って歩いている自分に気付いて、驚いた。
ニノは男だぞ!って、思う反面、こいつには、そういう説明できない魅力があるんだ。
庇護欲って言葉、この場合当てはまるのかどうかわからないけど...
上司と部下の関係だった時は、全く感じたことのないニノの違う一面...
そのギャップに..
「翔さん、さっきから何考えてるんですか~?」
「えっ?いや、別に...」
するとニノは、俺の目を覗き込むようにしながら、
「もしかして、俺と離れるの淋しくなっちゃいました?」
くりくりした、子犬みたいな目...
「いや...別に...」
「俺は淋しいです。」
「えっ?」
「俺は翔さんとこれでしばらく二人っきりになれないのかと思うと、淋しいし、他のヤツになんか、渡したくない!ってそう思ってます。」
「ニノ...」
普段はどっか捻くれてる様な、冷めてる様な、そんなニノの真っ直ぐな言葉が俺の心に響く。
マンションに帰って、二人で並んでテーブルに座わり、ニノが奮発して買って来たシャンパンを開けた。
「翔さん...忘れないでね。俺と過ごした時間」
吹き出しそうになる、くさいセリフなのに、不覚にも俺の胸はキュンってなる。
智くん、相葉くん、って、どこか警戒していて、素直な自分を見せないようにしてた。
でも...
もっと自分に正直になってもいいのかな?って、気付かせてくれた、ニノ...
「ありがとうな...ニノ..」
「こちらこそ、です。ホントに幸せだった、俺...」
そう言って静かにグラスを合わせた。
流されるままにここまで来た。
でも...
ニノには初めての経験も...させてもらったし...
明日からの松本との時間...
素直に、自分はどうしたいのか、しっかり見つめたいと思った。
シャンパンを口に含み、ニノがゆっくりと目を閉じた。