第4章 夢
【翔side】
...好きなとこを次々並べていくニノに、俺は直ぐに後悔した。
恥ずかしいんだよ///ったく//
まあ、近くの席の奴らも、それぞれ盛り上がってるから、聞いてないとは思うけど...
改めて聞くと、もう耳を塞ぎたくなる///
しかも、『抱かれてる時の、蕩けそうな...』ってさぁ~。どんな顔してそんな単語を並べてるんだよ?
ビールを仰ぐ振りで、こそっとニノのことを見ると、こいつ、してやったり顔で口角を上げてにっこりしてた。
.....(;一_一)
何なんだよ、マジで...
俺この年になるまで、、カッコイイと言われたことは、まああったけど、可愛いって...
しかも同性のニノに言われるって...複雑だよ。
『可愛い』
そのワード...俺んじゃないだろ~
よし!この際だから、言っとこう!
「あのさ、可愛いって言葉が許されるのは~、ころころした子犬とか、ふわふわのうさぎとか、よちよちの赤ちゃんとか、そういうものの形容詞であって、俺みたいな男にはさ...」
「翔さん!分かってないのは翔さんですよ!」
「へっ?」
「今挙げたどれよりも、翔さんが一番可愛いです!」
.....言いきりやがった。
しかも何でそんなドヤ顔なんだよ~...
ダメだこりゃ(-ω-)/
俺はため息をついて立ち上がった。
「行くか?」
「はい、そうしましょ❤」
...❤つけやがって。少しは下心、隠せや///
マンションに着いて、エレベーターを待っている時、俺はニノの顔を見ないで言ってみた。
「あのさ~、今日もスルんなら、交代してもいいのかな?」
「えっ??」
「...いや...何でもない..」
何言ってんだ、俺...
自分で言ったことに赤くなるのが分かった。するとニノは、
「勿論いいですよ!そうしましょう~俺の全部を知って欲しいし❤」
...全部って///顔から火が出そうな俺に、ニノは嬉しそうに腕を組んできた。
誰もいないし...ま、いっか///
俺は、どんどん自分が自分じゃなくなっていくのを、どこか他人事のような気がしていた。
...こうなったら、なる様になれ!!だ。
「先に、風呂入るか?」
「じゃ、一緒に入ります~?洗ってあげますよ🎵」
...洗ってって、風俗じゃないんだから。
呆れ顔の裏で、ほんの少しソコが疼いたことは、内緒だ。