第4章 夢
【和也side】
翔さんのアーモンドみたいな目が、俺の下半身に釘付けになった。
「なに見てんすか~?」
揶揄うように言うと、耳まで真っ赤になって。
「み、見てないから!なにもっ!」
噛み付くように叫ぶと、くるりと反対側を向いて、逃げるように浴室へ入っていく。
嘘ばっかり~
俺のコイツ、バッチリ見たくせに。
その後を追いかけると、俺に背を向けたまま、もう頭からシャワーを浴びていた。
筋肉のついた、白い陶器みたいな滑らかな肌を、水の粒が光輝きながら落ちていく。
それが息を呑むほど綺麗で…
思わず、その背中にかじり付いた。
「に、ニノっ…!?」
逃げられる前にと、お腹の辺りに腕を回してしっかり抱き寄せて。
わざと派手な音を立てながら肩にキスをすると、ピクンと震えて、大人しくなる。
「ちょっと、待てって…」
そのまま何度も背中にキスを落とすと、口では拒絶の言葉を吐きながらも抵抗する気配はなくて。
「…いいの?」
いつもは出さない低い声を意識的に耳の中へ囁いてやると、また震えた。
「だ、だめっ…」
「本当にダメだったら、抵抗してくださいよ」
俺の言葉に、ゆっくり視線が動く。
絡み合った瞳の奥は、もう欲情に濡れてて。
その漆黒の瞳が放つ誘うような妖しい煌めきに、体温が一気に上がった。
我慢出来なくて、力任せにこっちを向かせ、噛み付くように唇を重ねる。
すると、受け入れるように唇を開いてくれて。
舌を絡めると、熱い吐息が合わせた唇の端から漏れ出た。
ぎゅうっと抱きしめる。
戸惑いがちに、翔さんの腕が背中に回ってくる。
空気さえも入り込む隙間も作りたくなくて、さらに腕に力を籠めると、翔さんの手が背中をトントンと叩いた。
目を開くと、苦しそうに歪められた眉。
慌てて腕を解いて唇を離すと、翔さんは大きく息を吸い込んだ。
「ちょっ…苦し…」
「あ、ご、ごめんっ…」
やば…
あんまり可愛いから、力のコントロール効かなくなってた…
俺としたことが…
「いや、大丈夫、だけど…そんなにガッつかなくても…逃げたりしないよ…」
上気した頬をピンク色に染めて俺を見る翔さんは、今まで見たことないくらい色っぽくて。
「…続き、してもいい?」
また暴走しそうになる心を必死に押し留めて訊ねると。
目を逸らしながら、小さく頷いてくれた。