第4章 夢
【和也side】
実は、すごく緊張してた。
当たり前じゃん。
大好きで大好きで堪んなかった人が、ようやく手に入るんだよ?
…正確には、ちょっと違うけど。
でも期間限定だけど、手に入ることにかわりない!
だから、ホントは手も震えてるし足もガクガクするし。
でもそんなところ見せるのかっこ悪すぎるから、余裕かました振りして、翔さんの家行きたいって誘ってみた。
そしたら思いっきり動揺しつつも、承諾してくれて。
駅前のスーパーで買い物してるときも、俺を意識してんの丸分かりなくらい挙動不審だし。
エレベーターの中で手を繋いだら、緊張してんのか指先が冷たくなってるし。
挙げ句、ドアを開ける手元も覚束無くて。
握られた手を離せばいいのに、そんなことも思いつかなかったみたいだし。
どれもこれも、今まで遠くから見ているだけじゃ絶対に見ることが出来なかった姿で。
年上だけど超可愛いなって思ったら、いつの間にか緊張なんかどっかへ吹っ飛んでってた。
「ど、どうぞ…」
手を離し、ようやく開いた玄関ドアを開けると、大きく手前に開いて俺に先に入るように促してくれる。
「おっ邪魔っしま~す♪」
玄関へ入ると、後ろから手が伸びてきて。
パタンとドアの締まる音と同時に、パッとライトが点いた。
真横には、腕時計を填めた翔さんの腕。
そうしよう、なんて計算してたわけじゃなかった。
だけど体が勝手に動いて。
気が付いたらその腕を捕まえ、後ろを振り向いて。
肩を押し、彼を締まったドアに押し付けてた。
「ちょっ、ニノっ…」
目の前で見開かれた漆黒の瞳が、すごくキレイで…。
吸い込まれるように、ぽってりとした唇に自分のを押し当てた。
「んんっ…」
漏れ出た声が、めちゃくちゃ色っぽくて…
迷わず、誘うように薄く開かれた唇の隙間から舌をねじ込む。
苦しそうに身を捩るのを、上半身を押し付けて阻止して。
片手で顎を固定し、逃げる舌を絡め取った。
わざとぴちゃっと音を立てて吸い上げると、女の子みたいにぶるりと震える。
薄目を開いてみると、硬く目を閉じ、苦しげに眉をぎゅっと寄せていて。
やばい…
死ぬほど可愛い…❤
普段は絶対に見せることのない姿が、体中の血液を沸騰させた。
悪いね、みなさん。
翔さんのバージン、俺がいただいちゃいます♪