第1章 Kissからはじめよう
【翔side】
単純にさ、興味があった。
それだけだよ~?
智くんがどんなとこに住んでるのか。
いつもは警戒してたし、思わせ振りなことしちゃいけないって、そう思って拒否してたのに。
魔が差した、っていうのかな~
結構俺も、酔ってたしね。
万が一のことがあっても、智くんなら俺の方が強いでしょ?
貞操は守れるだろうし。
...この油断が、とんでもないことになるなんて、このときの俺には知る由もなく。
ビニール袋をふたりでブラブラさせて、なんか不思議だけど、幸せ気分だったんだ。
「狭いけど、上がって」
智くんのマンションは、割りと新しくて、
「お邪魔しまぁ~す」
1LDKの室内は思ったよりも綺麗に片付いていた。
少なくとも、俺よりは。
上がり込んで部屋の中をキョロキョロ見回していると、智くんが、
「ハイ、これ。着替え」
って、グレーのスエットを手渡してきた。
「えっ?」
「だって、シワになっちゃうでしょ?」
俺の手に強引にグレーを押し付けると、智くんは自分も着替え始めた。
えっ?いやっ...えっ?
俺の目の前で、どんどん脱いでいく智くん。
狼狽えたのは俺だけで、彼は潔くぱっぱとパンツ1枚になった。
ゴクリッ///鳴ったのは俺の喉だ。
滑らかな肌に、細身なのにしっかり筋肉が着いていて...なんか、すごく、
綺麗だ。
「何してんの?早く着替えなよ」
「あ、う、うん」
見惚れてたことバレたんじゃないかって、どぎまぎしてしまい、俺は気付くとほとんど脱いでて。
スエットを履いてふと見ると、キッチンから智くんがじっと見ていた。
「な、何だよ...」
「ん?胸の筋肉、すごいなぁ、と思って」
「す、すごくなんか...」
「はい、乾きものと塩辛しかないけど」
「あ、ありがと」
なんなんだよ、マジで///
何で俺こんなにドキドキしちゃってるんだよ!
あーーっ////しかも、こんな着替えちゃったら、ヤバイときに逃げられないじゃん!
どうしよぉ~...
「翔くん、レモンハイでいいよね~?」
「あ、うん」
「座って♪」
言われるままに、ソファーに凭れるようにラグに座ると、智くんは俺の隣にくっついて座った。
「何でここなんだよ!あっち座れよ」
「だって、俺もいつもここなんだもん!いいじゃん別に...
何意識してんの~?変な翔くん❤」