第3章 Amore
【翔side】
相葉と家のリビングで酒を飲んでいる。
何か、現実味がないっていうか...
これは本当に起こっていることなのか?
よくしゃべる彼の口元を見ながら、ぼんやりとそんなことを考えていた。
少し前までの俺に、こんな展開になるって話しても、信じてもらえないだろうね~
同僚の...しかも男。そして、一気に4人って...
俺そんな、職場で色目使った覚えは..
「んでね~...つ~か、櫻井さん、聞いてます~??俺の話...さっきからなんか上の空だし!」
「あ、悪りい...よくしゃべるな~って、そう思って見てたんだよ..」
「酷いですよ~!俺はこんなに...」
急に口籠る相葉に、俺は首を傾げた。
「俺は..こんなに...櫻井さんが..好き、なのに..」
......
何で赤くなってるんだ?
そんな顔見てるとこっちまで変な気になるじゃん///
「あ、お前、もう終電ないけど、タクシーで帰る~?」
「えっ?タクシーって...今夜は泊まりますよ、勿論!」
「あ、そっ..」
「あ、そうって!!櫻井さん、これから俺を抱くでしょ??」
「ふえっ?」
相葉の驚きの発言に、変な音は漏れたけど、言葉が出ない...
すると彼は、当然だという顔で、
「今夜は、そのつもりで俺をここに連れて来たんだって。そう思ってました!
もちろん今も思ってますけど..」
だって...付き合ってその日にいきなり、そういう事...
普通はしないでしょ?
あ、まだ付き合ってる訳じゃな..
「一週間しかないんです。俺に与えられたチャンスは!もたもたしてる暇なんかない!そうでしょ~?
...櫻井さん...いや、翔さん、お風呂貸してください!」
相葉はそう言うと立ち上がり、廊下に出て行った。
お風呂...
どこか知ってんのかよ?
まあ、迷う程の部屋はないけど...
おかしい...明らかに狂ってる。
今更か...俺、ここに来る時点で。
相葉の手を取った時点で狂ってるんだから...
頭で何とか整理して、理由をつけようなんて、端から無理なんだ。
だって俺、狂ってるんだから...
だったら、もう、進みべき道は1つしかない。
よし!!
俺は勢い良く立ち上がり、相葉の後を追って風呂場に向かった。
なる様になれ、だ。
あいつを目の前にして、勃たなかったら...
それが答えだ。