第3章 Amore
【雅紀side】
「この前、マジで面白かったのがぁ、伊野尾が飲み会で~...」
「ビックリするかもしれないけど、営業の風間が~...」
櫻井さんと並んで、電車に揺られている。
憧れのそのシチュエーションに、俺はもう緊張と感動でテンションがヤバくて。
しかもこの後、櫻井さんちに行く。
あの櫻井さんの....
こんな日が来るなんて!
それに、ただ行くだけだと思ったら大間違いだぜ~?
...あ、そういう芸人いたよな~?
そう...
その後、俺は、櫻井さんに抱かれる。
.....抱かれるんだ!!
夢じゃないだろうか?
ずーっと憧れてたんだ。
櫻井課長に。
こんなベビーフェイスな彼が、ベッドではどんなふうに『男』なのか、とか。
こっそり想像して一人でいたしていたことは、この際関係ないから伏せておこう。
あ~///想像しただけで、ちょっとだけ勃っちゃったよ~...
「どうする?少し飲むならツマミとか買ってくか?家、酒はあるけど、そーいうもんはないからさ。
家に来いとか言っといて、そりゃないよなぁ..」
そう言って笑う櫻井さんの横顔から、目が離せないよ..
「なあ~、どうする?聞いてんの?お前」
「えっ?あ、きっ、聞いてます。じゃ、コンビニとか寄ってきますか~?」
「そうするか~!なんか俺、腹も減ったかな~?
そう言えばさっきもほとんど食べてないしさ...」
......コンビニにいる櫻井さんも、画になるな~。
コンビニでふといつも買ってる週刊漫画が目に入った。
「あ!これ、買ってない!」
「お前、まだそんなの買ってるの~?中学生かよ...」
俺のために...俺だけのために笑ってくれてる。
「これもう、ず~っと買ってますから。んで、ニノがそれをあてにしてるんですよ~」
「なんかあいつらしいな...」
肩を並べて、仲良し気に談笑する俺と櫻井さんは、きっとどっから見ても恋人同士に見えちゃってるだろう...
俺達は軽く食べられるものと、俺の漫画と、とろとろ濃いプリンを買った。
これは俺のリクエストで。
レジ袋をぶら下げて、俺達は櫻井さんのマンションに帰ってきた。
ドキドキしてる気持ちを隠して、俺はワザとお道化て見せる。
『こいつといると楽しいかも』
そう思って欲しいから...
だって俺の売りってそれしかないから。