第2章 unknown
【翔side】
なんだか、調子狂う.
今まで通りに、智くんに接することができない...
いや、寧ろ今までどう接していたのかが、
もう謎だ。
同期だし、二人で飲みに行けば、何かにつけ俺に触って、スキンシップ多めで。
強く注意しようとしても、スルッと上手くかわされてしまい、結局なあなあの関係が続いていた。
...それがだ。
夕べ、遂に一線を越えてしまった。
こんな風に言うと、あまりに可愛らしく、俺達の関係がピュアな恋愛関係なんじゃないかと錯覚するけど。
...正直、それはない。
それだけは、ない。
そう信じたい。
俺は男は趣味じゃない。
例えそれが女の子より可愛いと感じる様なことがあっても。俺は男をそういう対象として見ない。
そうだったはず...
待て!!なんで過去形にした?
今もそうだ!!
じゃあ、どうして智くんを抱いたんだ?
夕べは帰ってからも、そんな思いが堂々巡りしてて、正直朝まで眠れなかった。
取りあえず、お試しみたいに付き合うことになってしまったけど。
やっぱり無理だと断ろう...
俺にはそういうのは、ないから...って。
俺は怖かった。
認めたくないけど、正直言って、智くんとのセックス...良かったんだ...
彼の中のあの感覚...
堪んない締め付け感...
女と同じ位に...
いや、それより、良かった。
だからダメなんだ///
彼と関係を続けたりしたら、俺もう、抜けられなくなるんじゃないか、って...
それが怖くて...
そう認めてしまうのが怖くて...
「大野」
仕事中、呼びつければふにゃふにゃ嬉しそうにやって来る。
目が合えば、蕩けそうな可愛い顔で俺を見る。
そうじゃないのに、俺にはこう見えてしまっているのか?
そんな顔を見て、一瞬夕べの彼を思い出してしまい、俺のある一部分がわずかばかり疼いた...
いかん...
夕べは、智くんも他に関係があるやついそうだし、俺もまあ、そんなに重く考えなくてもいいのかな?
セフレ、位の感覚で。
まあ、そんなのいたことないから、その感覚って分かんないんだけど...
そう思ってOKしたけど。
怖い...
彼に溺れてしまうんじゃないかと。
そんな恐怖が頭から離れないんだ。
智くんと目も合さない俺を、二宮が訝し気に見てる。
...ダメだ。俺、どうしたら?