第7章 まだ見ぬ世界へ
《お・ま・け》
【智side】
5人で一緒に住み始めてから半年。
こんだけ性格の違う5人が集まってるのに、俺たちは一度も喧嘩することもなく、仲良く暮らしてる。
それは、翔くんが俺たち4人を平等に愛してくれるから。
翔くんを中心に、俺たちは綺麗なまん丸の円を描いてるんだ。
眩い光に誘われて。
目を開くと、翔くんが優しい瞳で俺を見ていた。
「おはよう、智くん」
「おはよ、翔くん」
そっと顔を近付けると、微笑みながら唇を重ねてくれる。
壮絶なじゃんけん大会を勝ち抜いた俺は、昨日の夜、翔くんを独り占めすることが出来た。
二人っきりのベッドの中。
戯れるように軽いキスを何度も交わす。
「昨日は可愛かったよ❤」
キスの合間に囁かれて。
昨日の夜の痴態を思い出して、途端に恥ずかしくなった。
「も~、そういうこと言うなよ~」
「だって可愛かったから」
「む~…俺が翔くんを抱きたかったのに…」
最近、俺が下になってばっかり…
「智くんは、抱かれるより抱きたいんだよなぁ~」
「なんでぇ?」
「だって可愛いから」
う~ん…
絶対、翔くんの方が可愛いのに…
でもまぁ、翔くんが幸せそうに笑ってくれるから、いっか♪
「そろそろ、起きよっか」
「うん」
もっとイチャイチャしてたいけど、あいつら待ってるかもしれないしね。
手を繋いでベッドを降りる。
そのままドアを開けてリビングへ足を踏み入れると、し~んと静まりかえってた。
「あれ?」
珍しく、誰も起きてない?
と思ったら、聞こえてきた小さな寝息。
ソファの向こうを覗き込めば、ラグの上、相葉ちゃんをニノと松潤が両側から抱き締めて眠ってた。
もちろん、みんな真っ裸。
「…ベッドに行けばいいのに…」
翔くんが呆れたようにため息を吐く。
俺は自分の部屋から毛布を取ってくると、3人の上に掛けてやった。
3人は幸せそうに微笑んだまま、眠ってる。
「仕方ないなぁ…朝ご飯作ってやるか」
「じゃあ、俺も手伝うよ」
キッチンへ向かう俺の後ろを、翔くんがくっついてきた。
「え?作れるの?」
「失礼な!パンくらいは焼けるよ!」
「トースターに入れてタイマー回すだけじゃん!」
相葉ちゃんとニノと松潤がいて。
翔くんがいて。
なんでもない、いつもの朝だけど。
かけがえのない、幸せな朝だ。