第7章 まだ見ぬ世界へ
【智side】
翔くんが思いっきり動揺した顔で、俺たち4人の顔を見比べてる。
「そんなこと…無理、だよ…」
「なんで?無理じゃないよ!だってこの1ヶ月やってきたことを続けるだけじゃん!」
「そんなの変だし…」
「なんで?なにが変なの?俺たち4人は、みんな翔くんが好き。翔くんは俺たち4人が好き。だったらさ、答えは1つじゃん!」
語気を強めて言い切ると、グッと答えに詰まる。
そんなこと、今までなかった。
翔くんはいつも自信に溢れてて、俺なんかいつもやり込められるばっかりで。
だけど、今日は違う。
迷ってる。
翔くんの心がぐらぐら揺れてんのが、テーブルの上でぎゅっと握られた拳から伝わってくる。
もう一押しすれば、きっとなんとかなる!
俺はニノに視線を流した。
こいつなら、きっとなんとかしてくれるはず。
ニノは、「はぁ!?」って顔で俺を睨んだけど、俺が顎をしゃくって合図すると、仕方なさそうに口を開いた。
「翔さん…確かに、世間的なモラルから考えれば、大野さんの言ってることは大いに外れてるかもしれません」
おいっ!
なに言い出すんだよ、いきなり!
文句を言おうと腰を浮かしたら、すっごい目で睨まれて。
その目が黙ってろって、言ってた。
「でも、モラルに縛られて、本当に幸せな時間を失うなんて勿体なくないですか?」
ニノの言葉に、翔くんの瞳が大きく揺れた。
「翔さん、俺たち4人といて幸せだなって思ってくれてたんですよね?俺たちも翔さんといるとすごく幸せでした。きっとこんな幸せな時間、翔さん以外で過ごすこと出来ないと思う。みんな幸せになる道があるのに、それを選ばないなんて勿体ないでしょ?だって俺たちがそれでいいって言ってるんだもん」
そう言って、援護しろよとでも言うように、ぐるりと俺たちを見回す。
「俺も…翔さんといて本当に幸せだった。こんな幸せ、翔さん以外の人となんて掴めない」
「俺も俺もっ!翔さんじゃないとダメだもん!」
松潤と相葉ちゃんが、弾かれたように援護射撃した。
「もしかして俺たちの気持ちのことを心配してるのかもしれないけど、それは心配無用です。俺たち、今までもライバルと言うより同志みたいな感じなんです。翔さんが好きって気持ち、誰よりもわかってるから。だから、きっと上手くやれますよ。ね?大野さん」
俺も大きく頷いた。