第7章 まだ見ぬ世界へ
【翔side】
最後の別れみたいにさ…智くんがあんまり泣くから、
何だか俺もちょっと寂しくなる…
もう…会えない訳でもないのにさ…
智くんと一緒に顔を洗って、
俺がお気に入りでたくさん買い込んで冷凍している、
クロワッサンとコーヒーで軽い朝食をとった。
「旨い!!このクロワッサン、マジで美味しい!」
「そう…良かった~。もっとあるからよかったら食べて」
「うん!」
幸せそうにパンを頬張りながら智くんが、俺を指差した。
「ねえ、口のとこ、付いてるよ?」
「えっ?どこどこ~?」
「ほら~、ここ…」
クロワッサンの欠片を指で取って、そのまま自分の口の中に入れた。
パッと顔が熱くなる。
赤くなった俺に智くんは、
「翔くん、可愛い~❤」
とニッコリした。
…可愛いのは君の方だよ…智くん…
メトロの階段を上がって、肩を並べて歩く俺たちに、潤が声を掛けて来た。
「翔さん、大野さんおはようございます!」
「おお、潤!今日は早いな~」
「あ~…なんか落ち着かなくって、目が覚めちゃったんですよ…今日、だな~って…」
俺は何て言っていいのか分からなくて、潤の顔を見つめた。
すると彼は、
「翔さん…今夜、答え、聞かせてくれるの?」
潤はいつだって真っ直ぐなんだね…
俺はそんな彼が、何だか眩しくて…
こんな俺でもいいのかな…?って。
俺が答えるより早く、ニノが声を掛けて来た。
「おはようございます!」
「あ、おはよう」
「ニノ~、おはよ」
するとニノは智くんにグッと詰め寄って、食い入るように見つめて言った。
「泣いたんですか?朝…」
「えっ?何で分かるの?」
「嬉し泣き…じゃ~ないですよね?」
「…そんなんじゃないよ…」
俯く智くんを横目で見てから、ニノは俺に向かって、
「今夜8時、翔さん家の近くの『Olive House』の個室、5人で予約しましたから」
え…?それって…?
「発表してくださいね。気になって、仕事が手につかないんで…」
「ニノ、手回しいいな~」
「まあね。相葉さんにも言ってありますから。まあ、あの人、胃が痛くて食べられないかも、って言ってましたけどね~」
……そっか~…
今夜、俺…4人に話さないといけないのか。
もう一度、ちゃんと考えよう。
自分が、見つけ出した答え。
ふと気が付くと、3人が俺をじっと見ていた。