第6章 Hung up on
【翔side】
なんか平和だな、って思う。
智くんとこんな風に戯れてると、不思議とふんわり、優しい気持ちになれる。
智くんが持つ、独特の空気感のせいなのかな?
エッチなんかしなくたっていいんだ。
こうやって、他愛もない話をしながら、
笑い合ってるだけで…
俺は…智くんとずっと居たいって、そう思っているのかな~?
自分で自分の気持ちがまだ見えない。
……みんなで仲良く。
そう言う訳にはいかないのかな?
智くんと居ると、俺はこんなにも優しい気持ちになれる。
だから、彼に決める。
そう言いきれない自分がいて。
俺のことを好いてくれている4人…
その中の誰かを選ぶことは、イコール、他の3人とは共有する時間を持てなくなるということな訳で。
それは淋しいというか…
勿体ないというのとは、少し違うのかもしれないけど。
いい言葉が見つからない。
だけど、潤とニノと雅紀の顔が…
3人の笑顔が頭の中に浮んできて、智くんのそれと重なる。
俺…本当は…
「…翔くん…」
智くんの手が俺の手にそっと乗せられた。
じっと彼の顔を見つめると、さっきまでと違って、不安そうな顔をして俺を見つめていた。
「あ、何?」
「何じゃないよ~!急に黙り込んじゃうからさ~。俺なんか気に障ること言った?」
心配そうな顔して、智くんが俺を見つめる。
俺は、その頬にゆっくり手を伸ばした。
智くんはその手のひらを掴んで引き寄せ、自分の頬に当てた。
俺の手に頬を付けて、彼は目を閉じた。
……智くん…
「翔くんの手、温っかい…こうしてるとさ~…凄く気持ちが落ち着くんだ~。翔くんの体温感じてるだけで…
…って!別にエッチな意味じゃないよ~!!」
焦る智くんが可愛い…だからつい…
「そっか~。エッチな意味じゃないなら、別にそういう事しなくてもいいってことだね~?」
「え~!?どうして??何でそんなこと言うんだよ~!翔くんってさ…意地悪だよね!」
「……じゃあ…止める?」
途端に智くんの顔色が変わった。
俺の言葉に、目を見開いて、俺を見た。
「翔くん///なんで?ごめんなさい!!止めるなんて、そんなこと…そんな…」
全く…
何でそんなに可愛いんだよ(^^;
俺は彼の身体を抱き寄せた。
こんな可愛い彼の事…手放すなんてできないよ。
まだ言わないけどね…