第6章 Hung up on
【和也side】
俺は昨日の翔さんと大野さんの睦み合いを事細かに相葉さんに話して聞かせた。
最初は興味津々って感じで身を乗り出して聞いてた相葉さんは、だんだんと泣きそうな顔になってくる。
終いには薄らと涙まで浮かべてしまった。
「なんでそんな話聞かせるんだょぉ!ニノのばかぁ!」
「あなたが聞かせろって言ったんでしょ…」
「っていうか、なんでそんな知ってんの~?もしかして、見学してたとか!?」
「んなわけないだろ!大野さんが聞いてもないのにぺらぺらしゃべってきたんだよ!」
頭を叩いて自分のデスクに戻った俺の後を追っかけてきて。
大野さんは昨日の翔さんがいかに可愛らしく乱れたのかをめちゃくちゃ詳細に語ってきた。
そんな細かく説明出来るんなら、もっと仕事にも生かせよ!なんてツッコみつつ。
聞きたくもない話を最後まで聞いちゃったのは、自分が過ごした1週間を思い出したから。
あの日の翔さんの可愛い喘ぎ声や桜色に染まった滑らかな肌を思い出して…。
そしたら、俺のムスコ、ムクムクしちゃった。
『んふ…ニノ、勃っちゃった?』
大野さんが俺の股間をスルリと撫でた。
『やめっ…!』
慌ててその手を払い除けると、ニヤリといやらしい笑いを浮かべた。
『ありがとな~。あんな可愛い翔くんにしてくれて♪』
勝ち誇ったような顔をして、自分のデスクに戻っていく後ろ姿を見て、気付いた。
たぶん、俺、当てつけられたんだ。
翔さんを最初に抱いたのが、俺だから。
くっそ~!あのエロオヤジ!
菩薩みたいなのほほ~んとした顔しやがって、やってくれんじゃないの!
「いいな~、みんな…。翔さんの可愛いとこいっぱい見れて…」
宙を睨み付けながら、大野さんに毒突いてると。
目の前の相葉さんは肩を落としてビールをチビチビ飲んでた。
「あなたも翔さんを抱けば良かったじゃない」
そう言うと、だってさぁ~なんてボソボソなんか口の中で呟いてる。
「このまま…もし翔さんが大野さんのものになったら…俺、どうしたらいいんだろ…」
不安そうな仔犬みたいな目を、こっちに向ける。
「大野さんのものになんか、させないし」
「でもさぁ、選ぶのは翔さんじゃん」
…大野さんとの期限は、あと6日。
それが終われば…。
「俺たち…どうなんのかな…?」
相葉さんの言葉に、俺は黙り込んだ。