第6章 Hung up on
【翔side】
一瞬、頭の中で火花が散って、意識が飛んだ。
でも、俺の胸に崩れ落ちる様に重なってきた、智くんの温かい肌の感触に、俺はゆっくり目を開けた。
すぐ側に、少しだけ日に焼けた、見慣れた顔…
「…翔くん…」
「智くん…」
彼の熱っぽい潤んだ瞳に、赤い顔した俺が映っていて…
智くんも相当エロい顔してるけど、
瞳の中の俺も、観ようによっちゃあ、娼婦に見える…
俺……
なんか、変だ。
ぼんやりした頭の中に浮んだ、さっき智くんに吐いた、とんでもない言葉の数々を、俺は忘れるためにぎゅっと目を閉じた。
…あんなこと言ってない…
そんな言葉、吐いてない…
「翔くん、もう最高に可愛かった❤俺、しっかり忘れないように覚えとくよ~(^^)」
…(´-ω-`)どうぞ、お忘れください…
「はぁ~…」
小さくため息をついた俺に、彼は、
「なんで?どうして溜息なの?あんなに激しく、熱く抱き合った後なのに!
俺の下で、あんなに可愛い声で鳴いたのに…」
「わああーー///もう~!言うなよ!」
俺は真っ赤になった。
「翔くん?翔くんは、嫌だったの?俺に抱かれたこと…」
「……」
「俺はね、最高に幸せだったよ!翔くんのことが、もっともっと好きになった!ずっと翔くんと一緒にいたいな、って///そう思った!なのに…翔くんは、違うの?」
智くんの顔を見ると、泣きそうに眉を下げて、俺のことを見つめていた。
「そんな顔、すんなよ…」
「だって!」
そうじゃないから困ってるのに…
智くんに抱かれて、幸せだったこと…
認めてしまうのが怖くて。
口に出せないでいる俺に、君はどうしてそんなに素直な言葉を紡げるの?
……俺も…智くんと居たら…
君の側にいたなら、素直になれるの?
好きなものを好きだって…
そう真っ直ぐに言えるようになるのかな?
「智くん…おいでよ…」
彼に向かって腕を伸ばすと、智くんは嬉しそうに笑って、俺の胸に飛び込んできた。
さっきまでの、雄の顔した彼とはまた別の表情。
「翔くん…好きだよ❤」
「…ありがと…」
「翔くんは?俺が好き?」
……またそんな眉してさ(-"-)
そんな顔、観るのが切なくて…
俺の好きな、わたあめみたいな笑顔が見たくて…
俺は素直な言葉をひとつだけ、彼に送った。
「…智くん…俺も、君が好きだよ」