第6章 Hung up on
【智side】
「あなたさぁ…もうちょっと仕事、真面目にやってよね…」
いつもの居酒屋。
翔くんは、ビールを傾けながら大きなため息を吐いた。
「なんでぇ?真面目にやってるよ~?」
「嘘ばっか…。ずーっと上の空だったじゃない」
横目でチロリと睨まれて。
俺は肩を竦めた。
だってさ!
ソワソワするに決まってるじゃん!
今日から俺の番だし!
しかもさ!
「翔くん、女役も出来るようになったんでしょ~?」
訊ねると、ぶぶーっとミスト状のビールが翔くんの口から噴出された。
「んなっ…なっ…なんっつー事をっ!」
「ニノと松潤に聞いたし。翔くん、チョー可愛かったって❤」
「あ、あいつら~っ!許さん!」
拳を振り上げて叫んだ翔くんを見ながら、俺もビールを流し込む。
「だから、すっごい楽しみにしてたんだよ~?もう、今日が待ち遠しくて待ち遠しくて」
「えっ…ちょっと待ってよ?」
「なに~?」
「…俺、今日そっち側ってこと?」
あったりまえじゃん!
「え~っ!?今日は俺が智くんを抱くつもりだったのに!」
「え~っ!?今日は俺が翔くんを抱くの!」
「いやいや!どう見たって、智くんがそっちだろ!ちっさいし!」
「大きさは関係ないじゃん!ニノだってそうだし!それにアソコの大きさは俺の方が…」
言いかけた唇を、片手で塞がれた。
「こんなとこで、何言い出すんだよ!」
「んぐぐっ…」
翔くんは真っ赤になってて。
やば…
チョー可愛い❤
「全くもう…あなたってさ…」
自分だって大きな声で俺を抱きたいって言ったくせに。
なんで急に恥ずかしがってんだよぉ~。
でも、そんなとこも可愛いし。
前から可愛いなって思うことあったけど、やっぱそっち側を知ったからかなぁ。
輪を掛けて、可愛くなっちゃってさ…。
これじゃあ、あいつら以外にもライバルが現れそう…。
ただでさえ、強敵揃いだってのにさぁ…。
最初は、あいつらのこと、なんとも思ってなかっただろうけど。
1週間ずつ過ごして、
きっと、いっぱい愛されて。
今はどう思ってるんだろ…
最後に誰を選ぶのか…
もう決めたのかな…?
「智くん?どうした?」
突然黙り込んだ俺に、翔くんはそのくりくりの目を真っ直ぐ向ける。
「翔くん…もう、選んだの?誰と、一緒にいるのか」