第1章 Kissからはじめよう
【智side】
翔くんの唇が首筋をなぞると、ゾクリとした感覚が背中を駆け巡って。
俺の体は勝手に震えた。
「智くん…すごくいい匂いがする…香水でもつけてるの?」
「…そんなの…つけて、ないよ…」
何度もキスを落としながら訊ねた言葉に答えた声は、もう自分でもわかるくらい熱を含んでいる。
だって…
まだ信じられないよ…
好きで好きで、でも絶対無理だって諦めてた翔くんと、今ベッドの上で抱き合ってるなんて…。
ねぇ…これは夢かな…?
「そうなの…?でも、本当にいい匂いがするよ?不思議…」
徐々に唇が降りてきて。
もうすぐ胸の辺りに辿り着く…と思ってたら、不意に翔くんの唇が離れてった。
「…翔、くん…?」
目を閉じて翔くんの唇の感覚に集中していた俺は、驚いて目を開く。
顔を持ち上げてみると、翔くんは俺の乳首をじーっと見つめてた。
「ど、どうしたの…?」
やっぱ、ぺったんこの胸が気持ち悪くなっちゃった…?
「なぁ、智くん…やっぱ、俺おかしいんだよ…」
「えっ…?」
おかしいって?
やっぱ、こんなことおかしいって思ってるんだ…。
じわりと、涙が浮かぶ。
もう、だめだ…。
「…可愛いって、思ってるんだ…」
「…ふえっ!?」
翔くんは戸惑ったような顔を上げて。
「なんか…智くんの乳首見てさ…可愛いって、そう思ってる…」
俺を見つめて揺れる瞳の奥に、チロチロと燃え盛る焔を見つけた。
視線を下にずらしていくと、翔くんのズボンのあそこの部分は、不自然に盛り上がってて。
翔くんが、俺を見て欲情してるんだ…。
それを感じて嬉しくなって。
腕を伸ばして翔くんの頭を引き寄せると、噛み付くようにキスをした。
「んんっ…」
薄く開かれた唇に、無理やり舌をねじ込んで。
翔くんの咥内の隅々まで蹂躙するように歯列を舐めた。
そのうちに翔くんの方からおずおずと舌を絡めてくる。
絡め合った舌がぴちゃりと卑猥な音を立てて。
翔くんがぶるりと震えた。
「…智、くん…」
見つめ合った瞳には、さっきよりも大きくなった欲情の焔。
それを見つけると、俺も震えるほど嬉しくて。
もう一度唇を重ねながら、ついでに下半身も押し付けてみた。
硬くなった俺のと翔くんのが擦れ合って。
「ね…乳首、舐めて…?」
翔くんの目が、微かに見開かれた。