第7章 勉強とクロと私
音駒駅に着くと、人混みに混じりながら改札口へと向かう。
何年経っても人混みにはなれないなぁ
すると、目の前に差し出される手。
「握ってもいいぜ?」
「バカにしないでください。」
私は、少しムッときて、早足で歩いてみる。
と、クロの足につまずいた。
ほわり、
間近で香るクロの匂い
光太郎が言ってた通りいい匂いだな。
あ、クロに抱き締められてる
…え?!抱き締められてる?
私は、驚きが隠せず動けないでいた。
「なに?俺に惚れた?」
「違います。
あ、あの…手、貸してください。」
「ハイ。ドーゾ。」
わたしは差し出された手をギュッと握りしめる。
…こんなことになるなら、最初から握っておけばよかった…
なんて、後悔するのは、もう遅い。