第29章 それぞれ
5月になり、今の生活に少し余裕をもてたな、と思いながら登校をしていると突然後ろから、よっ、と言う言葉と同時に肩をポンと叩かれた。
「おはよ、黒尾」
「あー、おはよ」
俺に挨拶をしてくれたのは、木葉。
コイツとは会えばお互いに声をかける程度。
仲が悪いって訳では無いけど、仲がいいって訳では無い。まぁ、お互いに気を許せる関係ではあると思うけど。
「黒尾、今月のどっかの休みでさ、木兎兄妹とかエマちゃんとかみんなで集まらね?久しぶりに」
「あぁ、いいよ。ならさ、どうせ木兎とエマ、綾菜と俺で分かれるじゃん、そしたら木葉暇だろ?だから木葉のカノジョさんも誘ってみたら?無理にとは言わねぇけど」
俺も久しぶりに綾菜と会うから、木葉のこととか放っておいてしまうかもしれない。
「心配ありがとな。じゃ、お言葉に甘えて誘ってみるわ。黒尾は綾菜ちゃんとエマちゃんに連絡してみて。俺は木兎に聞いてみるから」
「りょうかーい。」
早く綾菜に会いてぇなー。