第28章 1番最後。
「うん、伝えられないだけ。……だって、…恥しい、じゃん…。」
綾菜のこの発言に、思わず笑ってしまう。
「なんで笑うの…?」
多分、電話越しの綾菜は、鉄朗はやっぱり変だ、とか思ってそうだな。
そう思うと、さらに笑えてくる。
「ごめん、ごめん。綾菜が可愛くて、ついね」
「そう。やっぱり鉄朗はよくわからないな。」
「やっぱ?(笑)」
2人で笑い合うと、次に訪れるのは静寂。
「綾菜、俺さ、バイト始めることにする」
…いや、綾菜からしたら、だからなに、とか思うと思うけど、一応報告、てきな?
「頑張ってね。ちなみに、どんなバイト?」
「大学の近くにあるファミレス。」
俺の初めてのバイトはファミレスになった。高校時代は、バイト禁止だったから出来なかったし、そもそも部活や勉強でそんな時間を取れるとも思えなかった。
「おお、行ってみたいなぁ(笑)」
「やだよ、恥しい」
「えぇ、鉄朗に恥ずかしいとかあるの?」
「あるだろ!お前なぁ、人のことなんだと思ってんだよ」
「んーと、んー……あっ!」
なんだ?と思い、自然に笑いながら、綾菜の次の言葉を待ってみる。
「性欲お化け」
「そういうこと言わないの!!…まぁ否定は出来ないけど。」
「いや、否定してよ…(笑)」
そう言いながら綾菜はケラケラと笑った。