第28章 1番最後。
「綾菜、ごめんな、手伝わせて」
「ううん、大丈夫。私が手伝いたくて手伝ったから」
ただの四角い空間で、鉄朗と私は2人で壁に腰掛けていた。
「まだ昼なんだな。綾菜のおかげで早く終わった。サンキュ」
「いーえ。鉄朗の家、無駄なものがないって言うか、ごちゃごちゃしてないから、すぐ終わっちゃったね」
鉄朗にはお礼を言われてるけど、私はただ、服をたたみしまっていただけだ。
「このあとどうする?…最後にヤる?」
私は、こくりと頷く。…多分、今日が終わったら、当分鉄朗と触れ合うことはできない。
だから、今日は鉄朗の全部を記憶したい。
…ううん、全部記憶する。