第27章 甘くて苦い。
「綾菜、おはよ」
「おはよう」
鉄朗の横に並んで歩いていると、突然手を握られた。
「あ」
それにびっくりして一言発しながら鉄朗の顔を除くと、極たまにみる、心から笑っている表情が目に入る。
「なに?緊張でもしてるわけ?」
「してないよ。」
私がそう言うと、「本当かァ?」と言ってニヤニヤする鉄朗。
まぁ、本当じゃないけどね。
鉄朗と手を繋いでいるのに、緊張しないわけが無い。
「ところで今日、研磨はおやすみ?」
研磨学校休むの多くない?大丈夫なの?
とか思いながら、鉄朗に聞いてみた。
「やすみ。俺とふたりはそんなにイヤか?」
「そんなわけないでしょ。むしろ、すっごく嬉しい」
自然と微笑んでそう言うと、鉄朗は少しだけ驚いて言う。
「え、知ってた(笑)」
やっぱりそう言うよねー。って思いながらも、知っていることが嬉しくて、さらに顔が緩んでしまった。
「なんだよ。今日、笑いすぎじゃね?」
「鉄朗と一緒にいるから、つい…ね」