第22章 信頼
部屋に入り、クロのコートを受け取りハンガーにかけ、自分のをかけていた。
「ありがとう、綾菜」
「いーえ。折角来て貰ってるもん。少しはゆっくりしてね」
私はそう言うと、クロの横にあひる座りで座った。
「なんか、柔らかくなったな、綾菜」
…そう、かな?
でも、もしそうなっているなら、それはきっとクロのおかげ。
…あ、もしかして体のこと?…嘘、触らなくてもバレるくらい太った!?
「笑顔も増えたし、喋り方も、単語じゃなくて文として喋れるようになったし。」
…体のことでは無さそうだ。…少し、安心。
…クロは私のことをちゃんと見てくれている、ってことでいいのかな?
少し、嬉しい。…なんて、そんなこと恥ずかしくて言えないけど。
「…綾菜…、触っても、いい?」
こくり、頷きながら
「もちろん」
そう言った。
そんな遠慮しなくてもいいのに。
触りたいなら触ってくれていいのに。
…クロになら、嫌なことは嫌だって言えるもん。…信頼、してるから。