第22章 信頼
「行ってきます」
「気をつけてね。」
お母さんはそう言って、笑いながらずっと手を振っていてくれた。
「暖かいって言っても、まだ寒いね…」
「まぁそりゃなぁ?冬だし?」
まー、冬だもんね…。
でも久しぶりの散歩はものすごく楽しそうだ。
そんなことを考えていると、クロに右手を恋人繋ぎされ、クロのポケットの中に入れてもらった。
「こうしたら、少しはあったかいダロ?一応カイロ入れてたし。」
「うん、暖かい」
…これ、少し恥ずかしいな…。
手汗かいてないよね?大丈夫だよね?
…あー、もうせっかくのクロとの散歩なのに、心配しか頭に入ってこない
「なに、緊張してるの?(笑)」
「…するよ、恥ずかしいもん」
「ブッ……可愛いなぁ」
吹いたよ、コイツ!
変なこと言ってないのに!
「…なんか、恥ずかしいから暑くなってきた…。クロのせいで」
「じゃあ、手離す?」
絶対分かってて聞いてるよ。…すぐ、恥ずかしいこと言わせないでよ…。
でも、きっと言わなきゃ離されそうだしちゃんと、言うけど。
「ヤダ…久しぶりにクロに触れられたから。…離したくないもん。…私が離さないし」
「ごめんね、触ってあげられなくて。」
…わたし、もしかして、クロに悪いこと言っちゃった。