第21章 思いを込めて。
学校に行く途中は、とくに怒ってる様子はなくて、普段通りに喋っていた。
クロも、光太郎が馬鹿なことするって言うのは分かってるんだよね。
実際、私よりも光太郎の方が知り合ったの早いし。
「あ、クロ」
「ん?」
話の隙を見て、クロに話しかけてみた。
今週の土曜日お出かけに誘おうと思って。
「今週の土曜日、空いてるかな?」
「あー、土曜部活あるんだよな。…あ、でも点検あるっつってたから、11時半に帰れるはず。」
「えっと、じゃあ、…あの」
なんて誘えばいいんだろう…。
まって、言葉が出てこない。
「なに?」
クロはニヤニヤしながら聞いてきたから、きっと私が言いたいことは分かってるんだろう。
「土曜日、クロと遊びたい」
「ん、いいよ。」
「でも、午前中は部活でしょ?大丈夫なの?」
「うん、綾菜に会えば疲れとかなくなるし」
なにそれ…、とか思ったけど、その言葉が嬉しくて言葉ではなくて笑みが零れた。