第21章 思いを込めて。
「おい、何してんだよ、シスコンエロフクロウ」
私の耳に届いた声は、低い声で聞き取りやすい、優しい声だった。だけど、その低い声はさらに低くなっていた。
…玄関、開いてた?
「黒尾じゃねぇか!ハッピーバースデー!」
「お誕生日おめでとう」
「うん、ありがとう、綾菜」
怒ってはなさそうだけど、でもやっぱ怒ってる??
あー、もう光太郎のせいで…!
そう思うとなんかムカムカしちゃって。
私は光太郎に強く当たってしまう。
「ねぇ、そろそろどいてくれる?」
「あ、ごめんな」
そう言い、立ち上がると光太郎はクロに腕を引っ張られた。