第17章 きす
綾菜たちが出かけると、自然的に空気は静かになるわけで。
とくに会話することもないし。
家族だし、別に会話しなきゃいけないってわけじゃないけど…この空気、気まずくね?
うん。俺でもわかるぐらい気まずい。
そんな空気を破ったのは、母ちゃんだった。
「ねぇ、光太郎。黒尾さんのご家族について何か知ってる?」
黒尾のいえのこと?
「俺は何も知らないけど…なんで?」
「ううん。なんでもない…。
あ、あと、光太郎、こんな時間に綾菜をパシらせたらダメでしょ」
「あ、ごめん」
今は、先ほどまでの空気はなくなり、テレビを観ながら楽しく会話をしていた。