第17章 きす
私がレジに並んでいると、突然目の前にクロが割り込んできた。
…ズルい…
なんて思った次の瞬間、レジの店員さんが「お次の方どうぞ」なんて言うもんだから、クロは私を抜かして先に…あれ?
クロに手を繋がられているから…割り込みじゃなかった?
レジの前につくと、私は意味がわからず直立していた。
そのため、クロがカゴを台の上に乗せてくれたのだ。
…やばい、このままでは奢ってもらうことになる…
そう思うと、焦りながら財布を取り出した。
私は、店員さんが消えてしまう前にかりゃあげくんとフライドチキンを頼む。
店員さんが隣でかりゃあげくんを取っているあいだ急いで千円札とポイントカードを出すけど…そこには既にお金とポイントカードが置いてあって。
私はそれをクロに返そうとすると、空気を読まない店員さんがそのお金を持って言ってしまった。
「…あ、あの!ちょっと待ってください」
「どうなさいました?」
そりゃ、私の言葉に疑問をもつだろう。
クロだって、意味がわからなそうな顔してるし。
「あの、お金…」
「足りますから大丈夫ですよ」
そういい、店員さんは素早く会計を済ませた。
…いや、足りるけど!そうじゃないんだよ!
…あとでクロにちゃんと返そう。
そろそろ悪いもん。