第13章 愛してるじゃ、伝わらない。
「綾菜」
誰かに名前を呼ばれた。
…この優しい声は…?
だけど怖すぎて誰の声かは分からない。
「ごめんなさい…叩かないで…もう笑わないから。」
「叩かないよ。…でも、笑ってほしんだけど」
ほわり、私を包み込むように抱きしめてくれる人。
…ものすごく優しい人。
「大丈夫だよ綾菜。
クロだからな?赤葦じゃねーよ。
…だから、もう泣くなよ。俺は綾菜の笑顔が見たい」
「わたしの笑顔、汚いです。
あ、…あの泣いてごめんなさい。」
もう、あんな怖い目で見られたくない。
だから、笑顔になんてなりたくない。