第12章 ハチミツ
今度はお風呂にクロが入ってきた。
…どうしよう…ヤバイよこの状況
私が色々と考えていると、突然顎をクイッと持ち上げられた。
私は突然のことでびっくりし、相手の顔…光太郎の瞳を見つめてしまう。
「なぁ、聞いてんの?」
「…聞いてる…」
ハチミツ色の瞳に吸い込まれてしまい、目をそらすことが出来ない。
すると、クロが光太郎の肩をトントンとして言った。
「落ち着けって。綾菜泣いてんじゃん。
…何があったか分からねぇけど、泣かせることは許さねぇし、何より落ち着いて話さないと話も進まないだろ?」
あ、私泣いてたんだ…
私は袖でゴシゴシと目を拭った。
「目、赤くなるぞ?
タオル使えよ」
そう言われ、私はクロのタオルを借りることにした。
優しいな。クロは。