第11章 王子様は突然で。
「じゃあ、もう時間も時間だし、オレ飯作り始めるなー」
「おう!冷蔵庫の中勝手に使っていいぞ」
「りょーかい」
そう言うとクロは、よいしょ、と口に出しながら立ち上がり、キッチンへと向かった。
「綾菜、お風呂どうする?
もう入りたいなら風呂洗ってくるよ?」
「え?早くない?」
「だって、今日赤葦に触られたんだろ?
だから、早く体洗いたいのかなーって?」
…なんで知ってるんだ?
そう思ったけど別にそれを知ったとこで何にもならないので聞くのはやめておいた。
「お気遣いありがとう。
でも、今日の京治は前みたいに殴ってきたりはしなかったよ?」
「は?」
急に怒り出した光太郎。
…あ、やばい、殴られたって言った?
言ったよね?私!
あー、ばか!何してんのよ!
「あー、ゴメンね光太郎
私、お風呂洗ってくるよ」
そういい逃げる様に部屋から飛び出し、浴室へと向かった。