第5章 ♡甘い快楽と苦い花
『え?なんでめるちゃんが謝るの?』
「いや、その...変なことばかり聞いてしまって...
羊さんには、すごく優しくして頂いているので
つい気が緩んでしまって
要らないことまで話してしまって......
本当に、すみません。」
『え!だから謝らないでよ!
俺は、めるちゃんに気を許してもらえてて
逆に嬉しいくらいだよ?』
「あ、えと...ありがとうございます」
『ふふ、こちらこそありがとう。
で、えっと...うーん......さっきの、
はなと雪臣様のことだけど、
その話は、はなにはしないでやってほしいんだ』
「え...?」
『あと、雪臣様にも。
というか、できれば誰にも言わない方がいいかも...。
って、あ!でも大丈夫!!
俺には全然問題なかったからね!
俺以外にはってことで!』
「え、あ...はい、わかりました。」
『理由は......いち執事の分際でどこまで喋っていいのか判断に困るけど......んー...
まぁ...その、簡単な話、時環家の第二当主は雪臣様じゃなく、はな...なんだよね…』
「えっ!?」
『ほんと、秘密ね...これ。ここだけの話。
その理由までは...ちょっと複雑な事情がありすぎて
俺の口からは話せないんだけど...
あ!もちろん、話せないのはめるちゃんのことを
信用してない、とかじゃなくて、
下手したら俺のクビ問題になってくるかもだし、
それにこの件は、はなだって...』
「だっ、大丈夫です...!
わかってますから...!
ごめんなさい...気を遣わせてしまって...」
『ううん!むしろ、今この話ができて良かったよ。
俺以外の人にこの話を振っちゃったら、
場合によってはめるちゃんが嫌な思いしちゃうからね』
羊が安心したように
にこっと笑う。
『でもまぁ...そういう事情があって、
はなはこの件について良く思っていないんだ。』
「え...そうなんですか...?
普通は、その......
位が上がれば喜ぶものではないんですか...?」