第4章 ♡太陽差す場所。陰る場所
『そんな...俺、お礼を言われることなんて...』
「ふふっ、私にとってはお礼を言いたくなる事だったんです。
あ、そういえば、羊さんはどうしてここに?
何か用事があった訳ではないんですか...?」
『あ!!そうだった...!
お、俺のせいでこんな時間になってしまって本当に申し訳ないんだけど、朝食...机に置いてあるから食べて欲しいんだ。
もう...本当にごめん。ちょっとした昼食レベルの時間だよね...』
「そんなっ!昨日に引き続き今日まで...!
お手数お掛けしました...!」
『ううん。あ!あとね!一応、言っておく、けど...俺、めるちゃんのお風呂、変な意味での、のの覗いたわけじゃないからねっ!!
その...部屋ノックしたんだけど返事がなくて、部屋の鍵が開いてるみたいだったから
朝食だけ置かせて貰おうと思って中に入ったらお風呂場から自殺...みたいな声が聞こえて......って、そうだ!自殺!めるちゃん、大丈夫っ!!?』
ハッとした羊にガバッと肩を掴まれる。
「あ...そ、それは...し、心配しないでください…!」
『心配しないでって...そんなの無理だよ!
何かあったら言ってって俺言ったじゃん!』
「いや、その...!
本当に、大丈夫ですから...!」
この屋敷に来てから、何度も無理やりに襲われ困っている......なんて話を人に、それもこれほどまでに純粋な羊に、到底話せるはずもなく、焦って笑顔を取り繕う。
そんなぎこちない笑顔を見て、
羊は悲しそうに眉を寄せた。
そして、ゆっくりと手を伸ばしー
『めるちゃん............よしよし』
優しく頭を撫でるその手は、
やはり日だまりのように暖かかった。
「.........」
その心地良さに、優しさに、
何故か目頭が熱くなるのを
めるはぎゅっと堪える。
『俺、本当にちっぽけでさ......
全然何もできないんだけど、でも...
何故かめるちゃんに初めて会ったとき、
この子のことは大切にしないと、守らないとって思ったんだ。』