第4章 ♡太陽差す場所。陰る場所
「.........え...?」
羊に大真面目な顔でそんなことを言われ、
めるはぽかんと口を開ける。
『だっ、だから!
よ、嫁入り前の女の子の...そ、その...
あ、あああんなところを見てしまった責任は、
ちゃんと、取るから......っ!』
「え、えと...」
今時珍しいほどに誠実な羊に驚きつつも、
めるは何と答えればいいものかと口篭る。
そうこうしているうちに
また倒れそうなほど真っ赤な顔をした羊に
ぎゅっと手を握り返される。
『お、俺...執事、だし......甲斐性とか、今、全然、ない...し、でも...ちゃんと、めるちゃんとの将来を考える、頑張る...から、今すぐってわけにはいかないけど、でも...ちゃんと、将来的には...その...あの...』
「ち、ちょっと待って...!」
頭がオーバーヒートしているのか
今にもプロポーズでもしてきそうな勢いの羊に、
さすがにめるも焦って止めに入る。
「あの!本当にですね...!
気にしなくて、本当に大丈夫なので...!
私も、気にしないです!
だから、羊さんもどうかお気になさらず...!」
『で、でも...俺......やっぱり、男として...こういうのは、ちゃんとしないとって思う、し...』
月臣に花臣、そして凌......
加えて世間の貞操観念のだらしない全人類に、
花眩羊を見てもらいたい...としみじみ思いながら
めるは小さく微笑む。
「ありがとうございます。
そのお気持ちだけで十分です。
羊さんって...本当に真面目な方なんですね。」
『え!!?そんなことないよ!普通だよ!!』
驚いた顔でぶんぶんと首を振る羊に、
めるはつい、くすりと笑みがこぼれる。
「ふふっ、なんだか、人に...それも男の人に、
こんなに安心感を覚えたのは
久しぶりかもしれません。
......こんなに暖かい気持ちにして頂いて、
逆にお礼を言いたいくらいです。
ありがとうございます」