第4章 ♡太陽差す場所。陰る場所
本当に雪臣のことが大好きなのだろう、
花臣はキラキラとした瞳で
嬉しそうに彼のことを語る。
「ふふっ、そうなんですね。
実は、私も雪...臣さん?には、
何度も助けて頂いていて...
でも無口...というか、その...
大人しい方だったので、
お名前を聞けていなかったんです」
『まぁ確かに...雪にぃは、その...
そんな感じ、だもんね...』
花臣が少し困ったように口篭る...も、
それは一瞬で、すぐにまた笑顔になる。
『でもでも!
雪にぃは本当に優しいんだよ!
君も助けてもらったんだっけ?』
「はい!道案内して頂いたり...
その、他にも、いろいろと」
『ふふっ、さすが雪にぃ!
僕の自慢のお兄ちゃんなんだ♪』
「お兄さんのこと、本当に大好きなんですね。
なんだかそういうの、羨ましいです」
自慢げに雪臣のことを語る花臣に
めるは優しく笑いかける。
『羨ましい...?』
「あ...えっと...
わたしは、その...
あまり、家族というものと、
縁がなかったもので...」
心に眠る寂しさを隠すように、
にこっと無理に笑顔を作る。
すると、そんなめるを見て
花臣の瞳が小さく揺れた。
『.........』
「あ...!ご、ごめんなさい...!
その、こんな話...!」
『.........めるちゃんはさ、
将来...家族を作りたいと思う?』
「え...?」
いつもおどけている花臣から
今まで聞いたことのないような
真面目な声が聞こえてきて、
驚いた表情で彼を見る。
見上げた彼の瞳は、
憂いに淀んだような、
けれどどこかに希望も探しているような、
一言では言い表せない
たくさんの色を纏っていた。
『"家族"に恵まれなかった君は、
"将来の家族"に夢を見た?
それとも、"家族そのもの"を諦めた?』
「ーーーえ......」
花臣の言っていることの意味がわからず、
でも、簡単に"わからない"と言ってしまうのも違う気がして、めるはただ花臣を見つめる。