第9章 ♡甘い蜜には毒がある
『ええええ!!?
な、何言ってるの!?
俺が...めるちゃんのことを嫌い!?』
「...だって......なんだか今日は...
羊さんにいつもみたいに接して頂けないから...。
あ、あの...!
何かしてしまったなら良ければ言ってください!
我儘だって分かってますが...
でも、私......こんな...や、です...」
『いや!あの、あのねっ...!
そ、それは...!』
羊はぶんぶんと手を振って
めるの言葉を否定するが、
表情はやはりいつもと違い固いままだ。
そんな羊を見て、
めるはさらに泣きそうになりながら
思わず彼の執事服の裾をそっと掴む。
「......お願いです...
羊さん...嫌いにならないで...。」
『......っ!?』
この屋敷に来てからのこと、
めるにとって羊の存在は唯一の心の拠り所といっても過言ではないくらい大きな精神的支柱となっていた。
屋敷に来る前も、来てからも、
幸せとは言い難い人生を過ごしてきためるにとって
羊ほど心を許せる存在は数える程もいなく、
彼に嫌われてしまったら最後、
また一人ぼっちになってしまう。
そんな恐怖心や寂しさに駆られ
めるは小さく震える手で羊の裾を握りしめる。
「......お願い...私...
悪いところは、直す、し...
なんでも...なんでも、しますから...」
『なっ、ななななんでも!!!?!
.........て!ちがう!!
違う違う違う違うっ!!!!!』
羊はめるのその言葉に、
なぜだか顔を真っ赤にさせると
ぶんぶんと首を振ってめるの肩をがしりと掴む。
『めるちゃん!
めるちゃんは、なにか...その...
勘違いしてるけど、違うから!
めるちゃんが思ってるようなことは、
一切!全然!これっぽっちもないから!
そうじゃなくて...その、あの、むしろ......』
「.........むしろ...?」
めるは、必死に涙を零すのを堪え
潤んだ瞳で羊を見上げる。